【履物laboはきものがかり】第1回 開催報告

皆様はじめまして。
この度、4代目女将・富田里枝氏より、辻屋本店「履物labo はきものがかり」の事務局を任命いただきました、しずこと申します。
これから隔月で開催される「履物labo はきものがかり」の活動報告をお届け致します。
どうぞよろしくお願いします。

ーーえ?履物laboって何???そう思われた皆様へーー

「履物laboはきものがかり」とは、着物を愛する研究員の皆さんと共に現在の履物事情、そして履物の未来について意見交換、更にlaboの名の通り研究する場として誕生した秘密組織です。(ちょっと?w)
そんな我々秘密組織ですが、浅草辻屋本店履物ギャラリーにて堂々と(笑)第1回「履物labo はきものがかり」を開催しました!

ーー研究員の自己紹介で個性炸裂、みな着物愛に溢れているーー

まずは、はじめましての自己紹介タイム。
さすが研究員に志願いただいた皆様だけあり、魅力的なお話が次々と。
着物の楽しみ方、履物について思う事、今日の装いについて。それぞれ個性的で熱い着物愛が溢れます。
終始「わー素敵!」「えー!知らなかった!」「それでそれで?」と大変な盛り上がりをみせ、初回から和やかな雰囲気に包まれました。

普段から着物を楽しまれている皆様ですが、意外にも履物についてよくわからない、また、履き方、履き心地についてもお悩みがある様子。
お悩みは千差万別。様々なお悩みが解決できるよう企画していきたいと感じました。

ーーなんだか曖昧だった、下駄と草履の違いーー

まずは女将より、基本のキ「下駄と草履の違い」のお話。
和装履物の種類は現在一般的には、下駄と草履に分けられる。
下駄は木でつくられたもの。
草履は革や合成皮革でつくられたものが多く、その他、竹皮、ラタン、パナマ等の素材があり、芯はコルク材を加工している。
近年はビニール、ウレタン、EVAなどの素材も多く出回る。

特に誰かに確認したこともなく曖昧だったけど、言われてみればスッキリ!といったところでしょうか。
舟形の下駄は草履の形をしているので、曖昧だった方がいらっしゃったようです。

ーー専門店だから聞ける有料級!なお話♪ーー

続いて、和装履物の歴史について。
決して長くはない時間でしたが、興味深い内容に一同うなりっぱなしです。これぞ専門店だから知りうる知識ですね。
さてさてマニアもうなる有料級の内容とは…

かつて日本人の日常的な履物は、藁草履や下駄だった。
二束三文という言葉が残るように、藁草履は安価な使い捨ての履物として使われ、下駄は雨の日用、あるいは仕事用としての履物から、江戸時代後期にはお洒落用としても広まっていく。


下駄の素材は高級な桐だけでなく、その土地に自生する木材で作っていた。
明治維新後、松永(現・広島県福山市)で下駄の大量生産が可能になり、全国に流通していく。
しかしながら昭和30年代になると、ゴム製の運動靴や革靴が安く手に入るようになり、日常の履物は下駄に替わり、靴が主役になる。

礼装用の草履は革やコルクが輸入されるまで、竹皮で編んだものが一般的だった。
今でも「畳表(たたみおもて・竹皮を編んだおもて)の重ね草履」は一番格が高い。
⇒ここ、勘違いしている方がたくさんいらっしゃると思います。もれなく私もそうでした??

その後、コルク芯を牛革でくるむ牛革草履が開発され、エナメル加工技術が進歩したことで飛躍的に広まった。
コルク芯の草履はは竹皮表の草履より軽く加工しやすいことから定番化していく。

今ある一般的な革草履は昭和も戦後になってからとのこと。意外にも日本の歴史からすると最近のものなのですね!

ーー開催後。研究員の考察ーー

◇ずっと疑問だった下駄と草履の違いがわかってやっとスッキリしました!
格についても、〇〇らしいよ、と噂レベルな知識しかなかったので、畳表の草履が格上だったことに驚きました。
◇下駄と草履の違いが、素材の違いだったとは知らなかった。
◇下駄と草履の違いは知っていたが、着物をよく着ている方でもそれを知らない人がいることを知って驚いた。
◇履物の格について初めて知った。一番格が高い畳表はフォーマルに見えなくて驚き。
◇フォーマルでない限り、基本的には下駄でも草履でも好きなものを履いてよいと知った。
◇台が木製のものは下駄という区分けを教えていただきスッキリしました。
*殆どの場面で下駄は和装の履物として可能であり、適している。
つまり柔らかものの着物でも、カジュアルな小紋などには躊躇なく下駄を履ける。

ーー驚き!こんなこぼれ話もーー

研究員のひとりが、こんな事をつぶやいていました…
「着物屋さんでは下駄はサイズ気にしなくていいと言われてMサイズを買って履いてました。
辻屋さんでSサイズに足を入れてみたら、いつもと違う感覚、こんなにピッタリしっくりくるのかと思いました。やはり下駄もサイズの大切さを痛感!」

私もちょっとびっくりしましたが、これが現実なのかもしれませんね…
これからは快適で安心な履物選びをお楽しみ頂けたら嬉しいです。

ーー第1回を終えてーー

初回から和気あいあいと盛り上がりを見せた「履物labo はきものがかり」。
倍率6倍を勝ち抜きお集まりいただいた皆様は、個性豊かで素敵な方ばかり。
皆様の明るい笑い声に包まれ、和装のお洒落って本当に楽しい!と実感しました。
格やしきたりも勿論大事ですが、フォーマル以外は自由に楽しんで良いのです!

私は幸運にも和装を始めて割と早い段階で女将と出会ったので、下駄や草履は挿げ職人さんに挿げてもらうのがスタンダードになりました。
なので履物のトラブルはほとんど知らずに着物ライフを?気に楽しんできたのでした。
ですが、履物のお悩みを抱える方って意外と多い!
しかも我慢をしているのです。辛いじゃないですか!
挿げて履くという習慣が無かったり、職人さんでない方が挿げた履物だったり、サイズが合わないものを勧められたりと、理由はいろいろ。
そんな皆様の為にも快適な履物生活を送っていただきたく、この履物laboを通して情報を発信していきたいと思います。

「履物labo はきものがかり」事務局
しずこ

labo終了後、希望者でランチ会へ♪

講座の後、時間のあるメンバーでランチをご一緒しました。
女将推薦のお店『ロシヤ料理ラルース』さん。
創業40年、キャベツロールやビーフストロガノフなどの本格的なロシヤ料理が自慢のアットホームなレストランです。


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