【履物豆知識】草履、雪駄の素材

草履・雪駄の素材について

革草履、雪駄の普及

革の草履や雪駄が一般的に流通したのは意外と最近で、昭和の初期頃です。
ドイツやアメリカから革が輸入され、草履の素材として牛革、爬虫類の革などを使うようになり、戦後になって広く普及しました。 戦時中は代用品として、犬、鶏、海蛇の革まで使われたそうです。

今は、草履といえば牛革のエナメル草履が主流です。「エナメル」とは光沢のある塗料で、色や光沢が美しいだけでなく、塗膜が硬くて湿気に強いので、革製品の保護にもなり、靴やバッグ、そして草履に使われるようになりました。

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《畳表の草履》

革草履ができる前の草履は、畳表の草履です。
「畳表」といっても、和室の畳とは違って、素材は竹の子の皮。
浮世絵で描かれている履物をよく見ると、下駄もしくは畳表の草履ですが、昔も高価なものだったらしく、武士や裕福な町人が履いています。

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《草履台の材質》

<草履台の芯材はコルク>

革草履の台の材質にはコルクを使っています。
コルクの品質によって、軽さや耐久性がまったく違ってきます。
廉価な草履の台には、コルクの粉を接着剤で固めたものがよくあり非常に重いので注意しましょう。

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一枚コルク草履
驚くほどの軽さ。上質なコルクは年々入手しづらくなっています。

<草履台のクッション性>

大量に綿を入れた”綿入り草履”は昔からありましたが、経年劣化で凹んでしまい足型がついてしまうため、特殊な高反発の樹脂素材を入れた「バルーン」という草履が開発されました。
クッション性がひじょうに高く、慣れると他の草履は履けないというファンも少なくありません。

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バルーン草履
一度履いたら手放せないという人も多い低反発の履き心地。

「本革」と「合成皮革」の違い

合成皮革草履はお求めやすい価格が魅力です。エナメル塗料は本革と同じなので、見た目には区別がつきません。
履き心地は、本革のほうが体温によって多少足に馴染みやすいことはありますが、それほど差はありません。
いちばん大きな違いは、耐久性。
合皮草履は履かないでずっとしまっておいても、5~6年経つと経年劣化してボロボロとハガレてしまう場合があります。
つまり、頻繁に草履を履く方は、安価な合皮草履を購入したら、どんどん履いてしまうほうがお得です。

逆に、たまに着物を着る人が長く使いたい場合には本革草履の方をおすすめしています。
本革草履の方がお値段はいくぶん高価ですが、お履きになる回数を考えると結果的にはお得です。

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