【履物豆知識】桐下駄の価値と見方

桐下駄の価値と見方

《桐素材の特徴》

桐はシソ目、キリ科、キリ属の落葉広葉樹。ゴマノハグサ科に分類されることもあります。

日本人にとって馴染み深く、紋所にもなっています。

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昔から箪笥、下駄、琴などに用いられてきました。
湿度変化に応じて湿気を吸放出する能力が高く、湿度を一定に保つ特徴があります。
桐下駄のサラッとした感触はこのためです。
また熱伝導率が低いので、寒い時に桐下駄を履いても体温を奪われることがなく温かみを感じます。

《桐下駄の産地》

福島県の会津桐や新潟県の山間部など、東北地方で育った桐が良質とされます。
寒い地方では成長が遅く、そのため年輪が細かくなります。
厳しい冬と湿潤な夏という温度差の大きな気候風土で育った桐は、緻密で軽く、粘りや光沢が備わっています。

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《桐下駄の製造工程》

まず桐の丸太の状態で半年間、乾燥させます。

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次に下駄用の長さに切断し、「墨掛け」して「木取り」をします。
桐下駄の価値は美しい柾目で決まるので、丸太からどのように下駄の台を取るかが重要です。

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最終的に桐の渋やアクを抜くため、風雪にさらして「輪積み」で半年間、自然乾燥させます。
輪積みとは、五分仕上げされた下駄の台を3mほどの高さに積み上げる木の塔です。

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《桐下駄の値打ち》

桐は年輪の数と目の配置が勝負。
年輪の本数が多く、等間隔で真っ直ぐに通っているほど値打ちがあり、価格も高くなります。

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桐材を幹の中心に向かって切り取ると、年輪はまっすぐに現れます。
これが「柾目」です。

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年輪が均一でない部分は避けるため、取れる数はわずか。
丸太から、縦に切り出し、下駄の表を合わせた形で加工すると、一足の下駄は同じ柾目になります。これを「合目」と呼び、特に贅沢で高級な桐下駄になります。

《桐下駄の種類》

天一・天二

天一

天板に歯の部分を接着して作ったもの。
天を一枚板で作れば天一、二枚の板を寄せていれば天二。
天に柾目がきれいに通った”経木”を貼ったものは「張り柾」と呼ぶ。

真物

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天と歯の部分を一枚のブロックから切り出したもの。
天に柾目がきれいに通った”経木”を貼ったものは「張り柾」と呼ぶ。
天に節などがある面を使ったものは「板目」と呼ぶ。

柾目

柾目

一本の木の年輪の柾目が縦に通った真物の下駄。
左右の柾目がぴったり合うものを「合目(あいめ)」と呼びます。

《仕上げの技術》

まず台の表に砥粉(とのこ)を塗ります。
昔は、関東では黒味がかった色が、関西では赤味がかった色が好まれたそうです。
さらに「いぼた蝋」という天然の蝋を塗り、かるかやという植物を束ねて作った「うずくり」という道具で磨いて木目を浮き立たせます。
最後に「たま」と呼ぶ陶器でできた道具で磨いて光沢を出します。

この作業は桐下駄の価値を高めるためには欠かせないものです。
今では上記のような道具も入手しづらく、大変貴重になりました。

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