【履物laboはきものがかり】第2回 開催報告

辻屋本店「履物labo はきものがかり」の事務局、しずこです。
今年も残すところあと少し。
温かい日が続き師走感が薄いかも?そんな12月のある日。
履物labo はきものがかりの研究員の皆様が辻屋本店履物ギャラリーに集合しました。
2回目という事で既にもう和やかな雰囲気の皆様。
お互いの着物や履物のコーデを撮り合ったり、聞き合ったり。
今日はどんなことをするのだろう?という期待とともに、研究のはじまりはじまり。

ーー気付かなかった事ばかり?鼻緒のあれこれーー

先ずは鼻緒についての座学を女将からお話しいただきました。
鼻緒についてしっかりここまで学ぶ機会って、全国探してもなかなかないのではないでしょうか?

■素材の種類はこのようなものが

革(牛革、鹿革、爬虫類、スティングレイなど)
正絹(織り、染め)、木綿、麻、化繊、印傳、ホースヘア、合成皮革…

なんとなく知ってはいたけれど、こんなにも沢山の種類があるなんて驚きです。
素材によりぐっと雰囲気が変わるのが面白いですね。

■仕立てについての説明

たっぷり生地を見せたい時は高原、スッキリ見せたい時は福林なんていう話を聞くたびに、会場から「おー!ホントだ」「わー!知らなかった」という声が響きます。

福林(フクリン)仕立て
高原(タカハラ)仕立て

ロケット仕立て
男仕立て

ニコク?江戸褄?通し坪? まだまだ続く知らなかった話に皆さん大盛り上がり。
お江戸と関西で呼び方が違うというのも面白い!

■着物の格に合った鼻緒の選び方を

フォーマル用、セミフォーマル用、お出掛け用、カジュアル用に分かれます。

フォーマル・セミフォーマル用
お出掛け用
お出掛け用
カジュアル用

女将のお勧めは組紐の鼻緒。
お出かけ用~セミフォーマルをカバーできる汎用性の広いもの。
キラッと光沢がありエレガントなその鼻緒は、会場のみんなが満場一致で「欲しい!」と思えるモノ。
実際このタイプがよく売れるそうで、使い勝手の良さはお墨付きです。

セミフォーマル~お出掛けまで対応可能な「組み紐

■ネット上に見られる間違った情報

ご来店されるお客さまから鼻緒に関する質問で多いのはこれ!
インターネットでも間違った情報が見られるので気を付けましょう。

太くて柔らかい鼻緒なら痛くない?⇒ 答えはNo!
鼻緒の中身は綿と紐、そしてボール紙などの芯が入っていて、足にぴったり合わせて挿げれば台が足に付いてくるからラクに歩けます。
輸入鼻緒などにある芯の入っていない柔らかい鼻緒は、足に固定されないのでかえって鼻緒ズレしたり痛くなることがあります。

細い鼻緒だから痛いの?⇒これも答えはNo!
挿げ方の問題。足に合わせて職人さんに挿げてもらえば痛くなりにくいとのこと。

店頭でも「痛くならない柔らかい鼻緒にして」とおっしゃるお客様が実に多いのだとか。
このような間違った認識が世にはびこっているのは悲しいですね。
1人でも多くの皆様に専門店に足をお運びいただき、挿げた履物の履き心地を体験してもらいたいです。草履も下駄も痛くない。これが真実なのですから。

ーーきものサローネで突如決まったコラボ企画ーー

そしてそして。今回の目玉!annKoginさんとのコラボ企画!
「こぎん刺しのオリジナル鼻緒作り」です。
11月に開催された「きものサローネ」で出会った『annKogin』さん。
はきものがかり事務局しずこが電撃的に惚れ込んでしまい、その日のうちに女将の承諾を得て、あっという間にコラボが決まったミラクル企画。
起きている時間は全てこぎんざしに費やしたい!というannKoginさん。可愛い帯や小物が沢山あります。
 こぎん刺し朝小布 アンコギン

アンさんはオリジナルの生地を使用、糸も自らから染めている超オリジナルの作家さんです。
その生地と糸のサンプルを送っていただき、履物laboオリジナルの鼻緒を作成する研究なのです!


色を選ぶ研究員の目は真剣そのもの。皆様それぞれ迷いに迷って個性的で創造力溢れる組み合わせを選びました。
色に合わせた刺繍の図案はアンさんにお任せし、次回のlaboへと研究は続きます。
どんな仕上がりになるか今から楽しみですね!

ーー研究員の考察ーー

「仕立て」にこれほど違いがあったことに驚き

鼻緒の素材や、特に仕立てにこれほど違いがあったことにほんとうに驚きました。
お店に並んだ草履もみても違いがわからない、というか、違うと思ってみていなかったので、まったく気づいていなかった様々なこだわりを知って感動しました。
こういう知識は着付け教室でも和裁教室でも着物屋さんでも教わることないし、着物好きの方からも聞いたことがなくて、お話しを聞く機会に恵まれたことがとても嬉しいです。知ったらもっともっと下駄や草履を好きになると思います。

こぎん刺しの生地や糸の色選びは難しかった

鼻緒の仕立ての違いに、あんなに種類があるとは思わなかった。
今まで、漠然と高原は綿をたくさん詰め厚みを持たせたもの、福林は綿を少なくしすっきり仕立たものだと思っていたので、そうではなく生地のデザインをどう見せたいかの仕立ての違いであることを知ることが出来て良かった。
こぎん刺しのオリジナル鼻緒作りは楽しかった。出来上がりのイメージが出来ないため、生地や糸の色選びはとても難しかった。どんな出来上がりになるか楽しみだし、仮に思うように仕上がらなくても、今後の選び方の参考になると思う。

仕立てに違いがあることを今回初めて知った

鼻緒について、これまで素材は気にしたことはあったけれど、恥ずかしながら仕立ては全く気に留めることがなかった。というより、仕立てに違いがあることを今回初めて知った。
自宅に帰り、手持ちの下駄や草履の鼻緒を確認すると、すべて「福林(表地の両端に裏地が見える仕立て)」だった。次回は他の仕立てを試してみたいと思う。

「細いから痛いんだ」と決めつけてました

母から譲られた下駄や草履の細い鼻緒の話題が出て、「細いから痛いんだ」と決めつけていましたがそれは間違いで「細くても自分の足に沿って挿げれば、細くても全く痛くなくて快適です」という女将の言葉に、目からウロコ。
昔の母の履物を探して見つかったら、辻屋さんで私の足に沿ってスゲ直してもらいたい、と思いました。痛くならない仕立て方があることを知り、次からは絶対に女将さんや職人さん(プロ)に相談しよう、と思いました。

大変有意義に感じました

鼻緒のオーダーなどをしたことが無い限り、なかなか知る機会はないかもしれないと思ったので、今回こうして教えていただき、大変有意義に感じました。

鼻緒はコーデのセンスを引き上げる、実は強い味方

辻屋さんの拘りはとても細かく配慮されている。これが履きやすさにも繋がっていることが分かった。着物の格に合わせた鼻緒の選び方は多彩で難しいが、その分楽しいコーデに繋がる。鼻緒はコーデのセンスを引き上げる、実は強い味方ともなりうると思いました。
こぎん刺しの色選びはメチャクチャ楽しかったです。全身コーデの中で考える必要があり、差し色として使うと良いのではないか?和装の小物の一つと同じ色を持ってくる、もしくは帯の柄に入っている色とリンクさせるとお洒落ではないかと思いました。

今回もさすが研究員!という素晴らしい考察をご提出いただきありがとうございました。
研究内容が、1人でも多くの方の快適履物ライフに繋がりましたら幸いです。
いよいよ次回はアンさんのこぎんざしが仕上がって参ります。
そちらもどうぞお楽しみに♪

履物laboはきものがかり 事務局 しずこ

*履物labo はきものがかりとは?
着物を愛する皆さんと共に、隔月で和装履物を研究。公募でご参加頂いた研究員の皆様と共に現在の履物事情、そして履物の未来について意見交換する場です。

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