【履物豆知識】辻屋本店の挿げの技
台と鼻緒に命を吹き込むのは“挿げ”
下駄や草履の履きやすさは、台に鼻緒をつける“すげ”が決め手。
それぞれ別に仕入れた台と鼻緒を独自のセンスで合わせ、
熟練の職人が店ですげた下駄・草履。
一足一足が、あさくさ辻屋本店自慢のオリジナル商品です。
年季の入ったすげ台に並んだ道具。左から・・・
【つぼ引き】 鼻緒の前つぼ(指で挟む部分)を引っ張って鼻緒を伸ばし、履きやすさを調整します。
【金槌】 下駄裏の「前ガネ」に鋲や鎹を打ったり、鼻緒の端を通しやすいようにつぶしたりします。
【板】 つぼ引きで鼻緒を伸ばすときに台の天(足が当たる部分)を傷つけないための道具。
【やすりくじり】 下駄の鼻緒を通す穴に差し入れて穴を広げ、鼻緒を通りやすくします。 草履の鼻緒の端を処理したり、穴を広げる“くじり”という道具にヤスリが付いたもの。
【はさみ】 余分な紐を切ります。
すげられる前の鼻緒と台。
オーソドックスな駒下駄です。
あぁ、早く一つに
なりてぇなぁ・・・
まず、鼻緒の端の部分の綿を抜きます。
いよいよ始まったぜ・・・
鼻緒をちょっとしごきます。
後緒の先をしばって止めます。
しばった先を金槌で打って、穴に通しやすくします。
軽く頼むぜ、軽~くな・・・
台には鼻緒を通す穴があいてますが、鼻緒がスムーズに通るようにやすりくじりでさらに穴を広げます。
おぉ、気持ちいいナ♪
鼻緒の後緒を左右の後ろ穴に通します。
前緒を通します。
台の裏で前緒を結びます。
キュキュッと・・・
いい塩梅だ。
麻ひもをよって・・・・
さっすが旦那、
いい手さばきだぜ。
鼻緒がぬけてこないように止めます。
つぼ引きで前坪を伸ばして、前緒の具合を確かめます。台の天が傷つけないように使う板には前つぼが入る切り込みが。
そぅそこ!
フゥ~ッ、気持ちいいねぇ。
後緒のゆるみを決めます。
両後緒を結びます。店に展示している下駄や草履は標準サイズにすげてあります。お客様のサイズをあらかじめお聞きしている場合は、ここで調節します。
麻ひもをくるくると巻きつけてしっかり止めます。
旦那、きれいに巻いておくれよ・・・
最後まで巻きつけたら…
いいね。いいね。
結んだ麻ひもの余りを切ります。
前緒の所に前ガネを釘で打ち付けます。
キリッと引きしまる気分だな
台の後ろに辻屋の刻印を打ちます。
待ってました!
辻屋本店の刻印、
おなじみの<ツ>印です。
さぁ、これでオイラも
辻屋の下駄だ
手を入れて前坪のゆるみを確かめます。手がものさし代わりです。
後緒の加減も調節します。鼻緒の微妙なカーブをつけるのが、足にフィットして鼻緒ずれしないポイントです。
おう、いい感じだ。
アリガトよ、旦那!
辻屋本店のスタッフは、
お客様の素足を見ただけで、
ぴったり合う鼻緒をすげることができます。
理屈より経験が成せる技です。
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