TPOを選ばない基本の「五分三枚草履」とは?

五分三枚草履とは?

五分三枚(ごぶさんまい)って?

-日本古来の測り方

尺貫法(しゃっかんほう)で「1分(ぶ)」は1寸の10分の1、約3.03mmになります。
ちなみに尺貫法とは日本古来の計算法。
現在は一部の例外を除き、メートル法の使用が義務付けられていますが、「お酒の一升瓶」、「〇〇坪の土地」など今でも生活のいろいろな場面で使われていますよね。

和装履物も現在はわかりやすくMサイズ、Lサイズ…といった表示をしていますが、バックヤードでは8寸、8寸5分など〇尺〇寸〇分で仕事をしています。

「五分三枚」は五分芯を3段重ねているという意味です。
五分=約1.6cmに、「天」(足を乗せる上面部分)+底裏+踵を含めて、高さ約6cmの草履ということになります。

高すぎず低すぎず程よい高さ

-最初の一足は、万能の高さがおすすめ

本や雑誌、ウェブ上で「台の高さに比例してフォーマル度が上がる」と書いてあるのを時々見ますが、根拠はなく、着物の格と草履の高さは関係ありません。
フォーマルな装い、たとえば金糸銀糸の入った柄行きの着物、重厚感のある帯などには、ある程度の高さがあったほうがバランスが良いということはあります。
またフォーマルな場面では着物の裾を長く着付けることが多いので、あまりに低いと裾をひきずってしまいます。
しかしながらフォーマル着物に低い草履を履いてはいけないことはなく、帯地や白・金銀の革など素材や色が礼装用ならば、高さは関係ありません。

草履の高い低いは履く人の好みですが、いちばん履き良くて着物に合わせやすいのは5~6cmくらいだと思います。
高さ約6cmの五分三枚草履は、全体の着姿をすらりと見せてくれる効果があります。
これ以上高さがあるとその分、重くなりますし、慣れないかたは少々不安定になるかも。

台の重ね数(段)は東京好み

-東京好み、関西好み

一概には言えませんが、関西好みの台は幅広の小判型で、側面は一枚巻きが多いようです。
東京では昔からなぜか、重ね(段)がある草履に人気があります。
段の数も、着物の格には関係なく、単にデザイン性の好みによります。
ただし作る際の手間がかかります。
一段一段、シワが入らないように革を巻き付けるのは相当な技術が必要。
段の数が増えるごとにお値段も上がります。

パステルカラー展開の理由

-お客様の使いやすさに寄り添った彩り

「基本の五分三枚シリーズ」は白+淡いパステルカラー12色で展開しています。
「どんな着物にも合う草履が欲しい」というご要望が多いからです。
本来は万能の一足というのはないのですが「そんなに何足も買えない」というお客さまの声に対応して考えた色展開です。
淡い色の草履ならば小紋・紬から付下げ・訪問着まで幅広く対応できるし、着物の色に関しても淡い色はもちろん黒やグレーなど濃い色に合わせても大丈夫。
(もちろん濃い色の着物に濃い色の草履もお洒落ですよ!)
メーカーの何十種類もある革の中から、品良く年齢を問わず、発色の美しい色を選び抜きました。

牛革 エナメル 3段重ね草履 ~黄蘗 きはだ~」商品コード:KL1750 をいろいろな着物に合わせてみました。
協力:「はんなり浅草店」https://han-nari.jp/

華やかな付下げに。
ニュアンスのある御召しに。
濃い色の訪問着に。
キリっと江戸小紋に。

エナメル革とマット革

-華やかさと落ち着いた上品な雰囲気

エナメル革は光沢があって華やかな雰囲気を表現します。
つや消しのマット革は上品な趣があります。
履き心地に差はほとんどありませんが、若干マット革の方が足を入れる際の滑りが良いかも。
エナメル革はあまりにごしごしこすると艶が損なわれてしまうので、お手入れの際は優しく拭いてあげましょう。

写真左:牛革 3段重ね草履 ~撫子 なでしこ~ 
写真右:牛革 エナメル 3段重ね草履 ~淡紅藤 うすべにふじ~

鼻緒の仕立てのこだわり

-基本の草履にも鼻緒には、美しさへの辻屋本店のこだわりが…

親指と人差し指で挟む部分を前坪と呼びますが、このシリーズでは前坪と鼻緒の裏に、つや消しの白を選びました。
たいていは台や鼻緒と同色に仕立てる草履が多いのですが、あえて白にしたのは、白足袋に合わせた際に「抜け感」が出て、裾から覗くつま先が軽やかに美しく見えるから。
鼻緒の裏が縁(ふち)からちょっと見える<三笠>という仕立てで、よりすっきり見えるようになっております。

別の鼻緒に替えてもOK

-鼻緒を替えれば用途も雰囲気もガラリと変わる

シンプルなデザインですので、鼻緒を替えればバリエーションが広がります。
帯地や組紐、刺繍などの鼻緒を合わせればフォーマル向きに。
縞や小紋などの鼻緒を合わせればカジュアル向きの一足になります。
元々の鼻緒を取っておいて、必要がある際に戻すこともできます。

参考草履 牛革 3段重ね草履 ~白 しろ~
参考鼻緒 左:相良刺繍 中央:龍村裂-宝入鱗文様- 右:院蔵特殊織裂

「TPOを選ばない基本の五分三枚シリーズ」

 特集ページはこちら → https://getaya.jp/feature/gobusanmai/

関連記事

コメント

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。