芭蕉布の着物、からす表の雪駄
いつもお洒落な仕覆作家のYさんが、芭蕉布の着物でご来店くださいました。
男性の女性用の着物を仕立て直したそうですが、さすが着こなしてました!
芭蕉布、なかなか手が出ないお値段ですが、沖永良部芭蕉布協議会というウェブサイトを見たら、こんなに手間がかかるなら仕方ないなぁというのがわかりました。
沖永良部芭蕉布協議会HP http://okinoerabu-bashofu.jp/process.html
芭蕉布に負けず劣らず稀少性の高い雪駄
お持ち込みの浦野理一の裂で作った鼻緒に合わせて選んでいただいたのは、畳表の雪駄。
ご存知のとおり、畳表といっても和装履物の場合は竹の皮です。
もっと詳しく言うと、竹の”稈鞘(かんしょう)”という部分で作られます。
雪駄に使うのは真竹の種類ではあるのですが、突然変異で現れた非常に斑点が少ない竹で、今の日本ではほぼ枯渇しています。
この稀少な材料を世界中探して、なんとか集めて、天日に干し、薫蒸処理し、竹皮を選別し、均等に割いて編み上げ、草履の形に成形した後乾燥させ、金型(雌型)に入れ、油圧プレス機で圧縮。
詳しくはこちらへ
https://getaya.jp/knowledge/takekawaomote/
その後、別の職方に移り、底裏に牛革を貼る。
鼻緒はまた別の職人が細かな工程で作ります。革鼻緒の仕立ては、オーダースーツと同じくらい高度な技術だそうです。
雪駄の履き心地は挿げの技術力しだい
最終的に、台と鼻緒がそれぞれ辻屋本店に来て、お客さまの足に合わせて挿げます。
畳表の雪駄は鼻緒を挿げるにも高度な技術が必要。挿げ方しだいで履き心地がまったく違います。問屋さんやメーカーより、履物専門店の挿げがずっと履き良いのは、「挿げ」の技術力が高いからです。雪駄だけでなく、草履や下駄も同じこと。
挿げの違いについては、長くなるのでまた次の機会に!
ちなみに、Yさんが選んだ雪駄はからす表(おもて)といって、竹の皮を草木染で黒っぽく染めています。
フォーマル仕様には使えませんが、昔から通好みの履物とされています。
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