根津美術館の企画展「きらきらでん」へ

四代目店主 富田里枝です。
昨日はオフだったので、根津美術館で現在開催中の企画展「きらきらでん」を観てきました。
自宅のある東京の東側からお濠の向こう、西側の南青山まで約130キロ、愛車のママチャリで1時間20分。
自転車は街の風景も楽しみながら、適度なスピードで移動できるから、天気の良い日は楽しいですね♪

麗しき螺鈿の世界

さて「きらきらでん」の展示、見ごたえがありました。
螺鈿とは夜光貝や鮑貝の真珠層を文様の形に切り抜き、漆などの工芸品に装飾する技法です。
「螺」は巻き貝、「鈿」は貝という意味。
中国大陸から朝鮮半島を経て日本に伝わってきた螺鈿技術の展開をたどるようになっています。

中でも興味を惹かれたのは、琉球の螺鈿。精巧ながらもおおらかな意匠です。
材料となる夜光貝の産地である琉球では螺鈿の技法が発達し、王府いは貝摺奉行所がおかれ、江戸幕府への贈答品や中国皇帝への朝貢品として、精巧な作品が製作されたとのこと。

厚貝と薄貝の違いも

展示室の最初に、素材が順々に加工されていく手順をわかりやすく解説してあります。
現在、辻屋本店で展示中の「山菱 至高の草履バッグ展」には、螺鈿細工の草履・バッグが多々展示してあるため、とても勉強になりました!

厚貝と薄貝の違いもよくわかりました。
1ミリ程度の厚さに加工した厚貝の方が歴史が古く、薄貝螺鈿を作れるようになってから、繊細な模様も表現できるようになったようです。

饕餮文ってこれですか!

今回、根津美術館でさらに驚いたのが、2階の1部屋に展示された数々の青銅器。
饕餮文(とうてつもん)がずらり!!
これも、山菱展でご紹介している草履のデザインにアレンジされています。
本物の饕餮文って、これなのか~
紀元前13~12年の古代中国で、神を饗応する器として作られていた青銅器。
文化大革命で失われた現地では入手困難で、中国人研究者も驚くような、根津美術館が誇る貴重なコレクションだそうです。

山菱さんの饕餮文は、どの部分をデザイン化したのかしら…。
これら青銅器は神事に使われ、饕餮文は魔除けの意味があるそうですので、足元からパワーをもらえそうですね♪

あらためて驚くのは、螺鈿やべっ甲などを装飾する「研ぎ出し」や「象嵌」を革に応用している山菱の技術力。
だって、足をのせるんですよ! よほど強度がないと耐えられませんよね。
体重を支え、歩くことで擦れも生じる草履の天面に繊細な加工を施すため、研究に研究を重ねた特殊なエナメル樹脂を開発したそうです。
美術工芸品を実用品として使うという山菱の草履ならではの特別感。
現在、辻屋本店の2階で開催中。ぜひご覧いただきたい展示です。

関連記事

コメント

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。