【履物豆知識】履物で痛い目にあう前に
意外と‘真逆’に勘違い?
知らずに買うと痛い目に合う下駄の5つの常識
デパートの呉服売り場やショッピングモールの着物屋さん、町の呉服屋さんなどで、あるいはインターネットの情報で、下駄を選ぶ際の注意点など説明が間違っていることが多々あります。
場合によっては、まったく‘真逆’の知識や方法なんてことも…!
挿げ(すげ)職人が目の前のお客さまの足に合わせて鼻緒を挿げる和装履物専門店として、
辻屋本店が「痛くならない下駄」の5つのポイントをお教えいたします。
1 鼻緒の太さは関係ない
「鼻緒が太いほうが、足に当たる鼻緒の面積が広くなり、足に食い込まないのでは?」と考えがちですが、下駄を履いて痛くなるかどうかに、鼻緒の太さは関係ありません。
太くても細くても、鼻緒が足の甲の高さやカーブにフィットしていれば、痛くなりません。
甲の高さ、幅、形など、足は人それぞれ違いますし、同じ人の足でも左右で微妙に違うものです。
一番大切な事は、一人一人の足に合わせて鼻緒を調整する事。
辻屋本店は、いろんなタイプの足に合わせて鼻緒を挿げてきた熟練の職人が足に合わせて、痛くない下駄をつくります。
2 痛い下駄は鼻緒がきついからとは限らない
「鼻緒が痛いから、緩めてください」と下駄を持って来られる方のうち、きついからではなく、むしろ緩すぎて痛い場合がとても多いです。
なぜかといえば、鼻緒が足にあっていなくて、下駄の上で歩くときに足が動いてしまい、鼻緒ずれするから。
つまり、痛いからといってむやみやたらに引っ張って緩めると逆効果になることも…。
3 柔らかい鼻緒が痛くならないというのは間違い
下駄だけでなく草履も、鼻緒が柔らかいほうが痛くならないと勘違いしている方は、大変多いです。
実際、「太くて柔らかい鼻緒」をすすめるお店や、ネットで浴衣の通販をしているウェブサイトで、そのように断定しているのを見かけます。
職人が足に合わせて鼻緒を挿げるには、ある程度の固さが必要。
それには鼻緒の芯にボール紙が入っていて、足に合わせたカーブをしっかり付けられるほうがよいのです。 鼻緒が足に固定されて動かなければ、鼻緒ずれしません。
逆に、芯にスポンジしか入っていないフワフワの鼻緒は、歩くときに足に固定されないので、ヘンなところに力がかかってしまい、鼻緒ずれするどころか、足を傷めたり外反母趾や捻挫の原因になる心配もあります。
さらに鼻緒をつぶしたり曲げたり、足を入れる際によれたりすると、芯のボール紙が変形して戻りません。
「鼻緒をもんで柔らかくするとよい」という人が時々いますが、履物屋の常識では一番してほしくないことです。
4 台の幅が広いほうが歩きやすいわけではない
日本の履物は、鼻緒が台の中央に付いているので、親指と人差し指で前坪を挟めば当然小指が(人によっては薬指も)台から外にはみ出します。
下駄の構造は何百年も変わらず、左右がありません。歴史の中で変更を試みようと思えばビーチサンダルのように右と左で鼻緒の位置をずらすこともできたでしょう。たぶん試した人もいることでしょう。
しかし長い歴史の中でずっと変わらないということは、日本の履物にとってはど真ん中に鼻緒をすげるのが結局は履きよいということでしょう。
鼻緒が真ん中に付いていて小指がはみ出す構造の’下駄’を履きよくするには、当然挿げの技術が重要です。日本の履物は靴のように5mm刻みに商品があるわけではありません。
足に合うサイズを探すのではなく足に合わせて挿げる。職人が挿げることを前提にどんな足にも合わせられるのが日本の履物です。きちんと足に合わせて挿げれば、台の幅は履きやすさの点ではあまり関係ありません。
幅の広さ狭さは、好みの問題。 昔からの傾向として、関西は幅が広い台を、関東は幅が狭い台を好むようです。
5 鼻緒の裏生地に注意
足に合わせてぴったりに鼻緒を挿げても、足指の力や皮膚が弱く、鼻緒のある履物に慣れていない人は、鼻緒の裏の素材に気を付けたほうがよいでしょう。
たとえば鼻緒の裏も革を使用している鼻緒は、少しでも擦れると痛くなりがち。 裏生地に別珍など足当たりの良い生地を使っているものを選びます。 また肌が弱い人は、鼻緒の縫い目が足に当たって痛くなる場合もあるので、チェックしてみましょう。
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