直して使う。和装って最先端では?!

辻屋本店 店主 富田里枝です。
いつもと違うGWが終わりました。
自粛要請も延長され、辻屋本店ももうしばらく実店舗の営業再開は見送ろうと思います。

ちょっと前の『東京新聞』に「<新型コロナ>自然破壊、温暖化もウイルスまん延の一因?」
という記事がありました。

ウィルスは野生動物が起源とされており
「住む場所を失った野生動物が餌を求めて人の住む町に近づく。また自然破壊により大きなストレスを抱える動物は感染しやすい状態にあり、その感染症が人にうつり広がったのが今回の大流行を生んだ」

さらに「温暖化が動物の生息域を北上させ、熱帯性の感染症が世界に広がるきっかけになっている」

オーストラリアの山火事は遠い国の出来事だったかもしれませんが、今回の新型ウィルスまん延も、人間による自然破壊とすべて繋がっていることなんですね。

私達が享受してきた便利さの裏側には地球に負担をかけ続けてきた現実があるというわけです。

たくさん作って、たくさん売って、売れ残ったら廃棄する、そういうやり方は
もういい加減やめてくれ!
地球が悲鳴を上げているのかもしれません。

考えてみると、日本ではモノを粗末にしないのが美徳とされてきました。

食べ物も乾物や発酵食品など保存食の知恵がありますし、
庶民文化が花開いた江戸時代にはあらゆるものがリサイクルされ、
回収業から修理業まで多種多様の商売があったとか。

かまどの灰を集める「灰買い」
「古傘買い」は壊れた傘の下取り
壊れた桶の修理をする「たがや」
「鋳掛屋(いかけや)」は鍋や釜の修理
煙管修理は「羅宇屋(らおや)」

そして、和服は直線断ちの構造だから、サイズ直しはもちろん、いろんな形に仕立て替えられる、
まさにリサイクルの象徴!

もちろん履物もそう。
靴のようにサイズが細かく分かれていないから、作る側も無駄が少ない。

鼻緒が緩んだら締めなおす。
下駄や草履が傷んだら台だけ、鼻緒だけ交換できる。

「直して使う」が基本の和装。
世界に誇れる文化だと思います。
ただその部分を支える技術がどんどん廃れつつあります。

たとえば和装履物でいえば、挿げ職人が今どれくらい残っているか。
鼻緒挿げの技術がなくなれば下駄や草履を直して使うことはできなくなります。
大量生産の履物しか残らなくなるって、時代に逆行してない…?

「今はそれどころじゃない!」…そうかもしれませんが、ウィルスまん延の根本原因は、誰もが他人事ではないと思うのです。

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