「やまとのくに」から吹く風は。
四代目店主 富田里枝です。
辻屋本店が開発しました「おうち草履 me-time」は昨夏大きな反響を呼び、お陰さまでわずか2ヶ月の間に200足以上ものご注文をいただきました。
今年は新シリーズ「まほら」が登場、「傳法(でんぽう)」と共に5月1日、ご予約受付をスタートしています。
伝統ある奈良の麻織物
「まほら」シリーズの鼻緒は奈良の「BAN INOUE」さんとコラボレーションした麻織物です。
奈良の麻織物の歴史は古く、室町時代後期には既に苧麻(ちょま)を用いた麻織物が生産されていました。
江戸時代には、麻を用いた上等な織物「奈良晒(ならさらし)」が幕府の御用達品となり、武士の裃、富裕な町人の帷子(かたびら)など夏の高級衣料として全国に流通しました。
織り上がった布を真っ白に仕上げる晒作業の様子は、俳句や川柳にも詠まれています。
江戸時代中期に書かれた『日本山海名物図会』には「染めて色よく、着て身にまとわず、汗をはじく故に世に奈良晒とて調宝する也」とあります。
(参考)
奈良市公式ホームページ
奈良県織物工業協同組合ホームページ
奈良大和路の思い出
今回なぜ「BAN INOUE」さんにコラボレーションをオファーしたのかをお話しします。
昨年のある休日、東京スカイツリーのソラマチで、雑貨店に置いてあった素敵な麻のワンピースが目に留まりました。
軽くてしなやか、そして色のバリエーションがとても私好み。
タグを見ると、奈良のメーカーだということがわかり、後で調べてみると会社のコンセプトにも共感。
麻素材の服やバッグは、うちの下駄に似合うだろうなぁと思ったのです。
奈良へは、たまたま2年前に旅行しました。
とある勉強会でご指導を仰いでいる元・春日大社宮司の岡本先生がメンバーをご案内くださり、長谷寺や西大寺へお参りしたり、地元のおいしいものをいただいたり、とても充実した楽しい2日間でした。
ふだん賑やかでごちゃごちゃした下町暮らしなので、大和路のゆったりした風景と歴史ある寺社の静かな佇まい、豊かな自然に心が洗われるようでした。
新型コロナの感染が1年経っても収まらず、我慢と不安で気持ちが疲れている今、くつろぎの時間に‘心が和む何か’を加えたい…
そして奈良大和路の思い出とBAN INOUEとの出会いから「まほら」シリーズが生まれました。
どこか北欧のデザインを思わせるファブリックが、思ったとおり竹皮の草履にぴったり。
昨年の「傳法シリーズ」は浅草の老舗「ふじ屋」さんの江戸手ぬぐいですので、また違った雰囲気でお楽しみいただけると思います。
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