【履物laboはきものがかり】第5回 開催報告

ーー鼻緒の差し色をコーデのポイントカラーにーー

◇りんりん研究員
鼻緒のピンク地に合わせて、ピンク系型染めの綿絽の着物、梅雨入りしたので傘の帯をチョイス。
annKoginさんが差し色に使ってくれた「グリーン」をポイントカラーにし、全体を締めた感じです。
レースの半衿や、着物ネックレス、パールのピアス、パールと組み合わせたスワロデコの指輪やブレスレットも軽快に合わせました。

《履物によるトータルコーデ研究》

白塗の下駄にターコイズの印伝鼻緒、ピンク系のエナメル草履に白っぽい鼻緒を合わせてみたら、これまたびっくり!全然違って見えて、カッコいいのです。
やはり、トータルで考えると、最後は小物と履物で締める。
履物はその機能性はもちろんのこと、コーディネートを決めるアイテムとしても、とても重要なものなのだな、と再認識しました。

ーーマジメな感じを帯留でちょっと外すーー

◇さとこ研究員
履物からコーデを組むことはよくあるけれど、ほとんどが格や履物の台座の色から組むことが多く、特に鼻緒にフォーカスしてコーデを考えるのは初めての試みでした。
6月後半、梅雨入り直前という気候も加わり、コーディネートに頭を悩ませる楽しい時間がいつもより長かったように思います。
鼻緒がグレー系の布地に白と紫と茶のグラデーションなので、グレー地に紫で麻の葉が描かれた小千谷縮に、紫色の博多紗献上を合わせました。
全体的にマジメな感じになったので、ろくろ首の帯留でちょっと外してみました。

《履物によるトータルコーデ研究》

とても楽しい迷いの時間で、いくつかピックアップ。
安定の組み合わせは、もちろんだけれど、ちょっと奇をてらった組み合わせでも、しっくりくるから不思議。
履物というあんなに小さな面積なのに、選ぶものによって、一体感が出たり、存在感が出たり。
着物で奇をてらったものを選ぶのは勇気がいるけれど、「帯に派手なし」という言葉があるように、履物もその類のもので、特にカジュアルな装いでは、年齢に関係なくというよりむしろ、年齢を重ねるほど、少し派手めなものを選んで、履物で遊んでも着姿の素敵さが増すのもしれない。
履物、奥が深い!と改めて感じました。

ーー大人可愛く華やか、履物が馴染むコーデを目指してーー

◇かずかず研究員
鼻緒は津軽のこぎん刺しなので、インドのカンタ刺し子の帯や刺し子風の三分紐などを合わせることで、雰囲気を合わせ、かつ異国のものを合わせることで民芸調にならないようにしました。
紫式部の刺繍半衿に青紅葉と燕のオーガンジーを重ね、雨雲としずくの帯留で季節感を、パールカラーの帯揚げと根付けでキレイと抜け感をプラス。
全体的に大人可愛い華やか、履物が馴染むコーディネートを目指しました。
すっきりめの着物に、鼻緒の刺繍と同じピンクのきいた帯やこぎん刺しの帯を合わせれば、履物が際立ち、履物が主役になるコーデになり、それも素敵だと思います。

《履物によるトータルコーデ研究》

辻屋さんの商品から、他の履物を試したところ、履物が変わるとコーデの雰囲気が想像以上に変わることに驚きました。
同じコーデが粋になったり、きちんと感のあるコーデになったりと、とても楽しかったです。

ーー鼻緒が主人公になれるようなコーディネートーー

◇ゆかりん研究員
なるべく鼻緒が主人公になれるようにしようと今回のコーディネートを考えました。
グリーン地に水色が入った鼻緒に合わせて、水色地の綿麻(KIPPEすずしま)。
鼻緒のほっこりしたイメージに質感を合わせて半幅帯を決めました。
帯と半衿は白の綿レース、帯締めは全体の色味に合わせて薄めのグリーン。
帯留めはアンコギンさんのリボン型の木に赤が入ったこぎん刺し、帯揚げは涼しさをだしてシフォンのダイヤ柄、眼鏡のピンクもポイントに。

《履物によるトータルコーデ研究》

後半、2~3足履き替えて違いを見ると、足元だけでずいぶん印象が変わるのを実感できました!
ちょっと着物や帯が遊んでいても履物が正統派だとちゃんとして見えました、特にYOさん。
さとこさんやひろみさんも、履物を変えただけでその方の魅力が一気に出てきて衝撃でした。
私は家から履いてきた下駄とさほど変わらないようなものに履き替えてみたけど、少し鼻緒に赤が増えたくらいなのに、ぜんぜん違ってみえました。
履物だけで印象が大きく変わるこの効果。履物の威力を知ってしまいました。
今回はお散歩があるからついつい履きやすい下駄を選んだけど、持ってる下駄全部を履きやすい物に変えて、コーディネートできるようにしたいです。
これまでの履物の座学も知らないこと新しい情報で毎回楽しみでしたが、今回の実践もとてもよかったです。

ーーテーマは「印象派」ーー

◇みっきー研究員
今日のコーデのテーマは『印象派』。
モネのようなイメージで、パステルカラーの小千谷縮の着物コーデ。
群青色のような鼻緒は、水面に浮かぶ薄紫と緑の睡蓮を連想し、黄色い前坪とこぎん刺しの帯をポイントに合わせました。
指輪、帯留めにぶら下げた片方無くしたピアス、帯締め、選択した草履の台は鼻緒のこぎん刺しの紫色に合わせました。
帯を前で結んで回すために、帯の下に仮に巻いていた帯揚げが何気に良く(帯が細いので上下から帯揚げが出ている状態がバランス良く)、抜かずにそのままにしました。
ちょうど細い帯からはみ出しがちな伊達締めも隠れて良い♪
りえさんに、今日1番の衝撃的な着方だと言っていただき、印象に残せて良かったと思いました。

《履物によるトータルコーデ研究》

お店にある履物を今日の装いに合わせてコーディネートする企画。
私とヒロミさんが選んだ草履は色違いでしたが、こんなにも履く人と着ている着物で印象が変わるのだと実感しました。
各自持ってるお着物にびっくりするほど鼻緒の色がマッチしていて、自分好みの色を選んだだけあるなと思いました。
各々のアイデアや個性が現れている、とても楽しい発表会でした。コーデ会またやりたいです。

ーー通常順序よりもワンランクアップ出来たかもーー

◇ヒロミ研究員
茶系にペパーミントグリーンが入った鼻緒に合わせた着物は、シャリ感のある藍色系の単衣。
見た目も着心地も涼しい着物に、帯はannKoginさんの半幅帯をチョイス。
全体的に地味なので、明るいブルーの帯締めをあわせ、赤いピアスをポイントにしました。
履物から考える和装コーデ を初めてやってみて、とても楽しいと思いました。
逆打ち的な発想の転換からのコーデは全体の着姿を思い描くという正にトータルで捉えるファッションの極意。
プロフェッショナルな感覚を持ちました。
着物→帯→小物→履物の通常順序よりもワンランクアップ出来たかもしれません。
研究員皆さんのコーデがまたものすごく高度で秀逸だったことがその証拠だと思います。

《履物によるトータルコーデ研究》

様々な履き物によって全体の印象がこんなに変わるのか実験も新たなる発見!
目から鱗でした。
貴重な体験をありがとうございます。

ーー色だけでなく久留米絣の柄も鼻緒の模様とリンクーー

◇Y.O.研究員
黒地にライムグリーンとエメラルドの入った鼻緒に合わせた着物&帯。
久留米絣は色のリンクだけでなくジグザグのバンジョー柄が、鼻緒のジグザグ模様とリンクするので選びました。
帯は木綿の半幅帯。
帯揚げには薄い黄緑で、刺子に使われているもう一色の糸の色に寄せつつ、前坪には辛子色が使われているので、帯留と帯飾りに辛子色を添え、すべて同色系にせず、帯締はあえてブルーにして外してみました。
全体を見て、黒の分量がやや少なく感じたのでバッグとショールと草履で黒を追加しました。
ちらりと見える麻の襦袢は、自分で染めて淡い紫色にしてみました。

《履物によるトータルコーデ研究》

お店の履物を合わせた印象は以下のとおりです。
淡色系の上品なエナメル草履:草履を変えただけなのにちょっとよそ行き感がでました。
子どもの授業参観や面談などに行けそう。
黒い塗りの下駄:襦袢が薄紫色なので、薄紫色の絞り染めの木綿鼻緒を合わせると、また雰囲気が変わりました。こちらはお遊び・カジュアル感があります。
コーデの中からピックアップする色を変えると印象が変わる好例でした。
畳表の3段の1段にグリーン×白の縞柄の鼻緒:とたんにこなれ感、上級者感が醸し出され…。段数の多い厚みのある畳表草履も華やかですが、薄手の畳表草履は雪駄のような雰囲気もあり、着物歴の長い人や、着物で長年お仕事をされているような方が履いていそうなイメージ。
履物を変えただけで、よそ行き、お遊び、こなれ感とそれぞれキャラクターが変わったかのような変化が出ました。
コーディネートにおける履物の重要さを再認識した回でした。
みなさんのコーディネートも拝見できて大変刺激を受けました。

*履物labo はきものがかりとは?
着物を愛する皆さんと共に、隔月で和装履物を研究。公募でご参加頂いた研究員の皆様と共に現在の履物事情、そして履物の未来について意見交換する場です。

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