海外日系人協会の研修にて

日系人の皆さんに和装履物の魅力を

公益財団法人 海外日系人協会より依頼があり、JICA日系社会研修「着物を通じた日系社会活性化」プログラムの講座として和装履物のお話しをさせていただきました。

実習で浴衣まで縫うとは!

参加者はアルゼンチン、ブラジルからで、職業は日本語教師、弁護士、デザイナー、会社経営者などさまざまです。
あらかじめ送られてきた日程表を見ると、11月4日~12月19日と1か月半もの長期研修、しかも内容にびっくり!
着物についての概要や歴史など講義と同時進行で、9回の実習で約30時間かけて浴衣を縫うのです。
さらに小紋と帯の着付けを6回に分けて実習。
その間、見学として櫛かんざし美術館、染物店で洗い張り、そして当店の履物。
後半は京都へ移動、西陣織や絞り染めの見学。
東京に戻って来て、保管・メンテナンス・染み抜きの実習、着物関連イベントの企画運営についての講義。
なんと濃い内容! 私も受講してみたい!!
通常、着物に関する文化事業で、履物が注目されることはほとんどないので、カリキュラムの一つにを入れていただいたのは大変嬉しいことです。
そして辻屋本店を選んでくださったことも、とても名誉なこと。
短時間でしたが下駄、草履の種類や歴史、選び方について講義させていただき、番頭の野村が雪駄の鼻緒挿げを実演しました。

日本の伝統的履物文化をもっと広めたい!

和装履物は、着物とは別の独自の文化があると私は考えています。
もちろん着るものに準じて履物を選ぶことには間違いありませんが、履物専門店が絶滅寸前という状況にある今、上に着るものに比べて、履物があまりにないがしろにされていることが残念でなりません。
どんなに素晴らしい着物や帯を身に着けていても、情けない履物を履いていたら、せっかくの着姿は台無しです!
履きやすい、歩きやすい履物についての正しい知識を持っていない人達が、間違った情報を広めいる現状にも、日々悔しい気持ちでおります。
2020年のオリンピックイヤーを期に、海外でも日本文化および着物について興味が深まるチャンスかもしれませんが、私は日本の伝統的履物文化について、微力ながらも発信していきたいと思います。

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