【履物laboはきものがかり】第3回 開催報告

辻屋本店「履物labo はきものがかり」の事務局、しずこです。
まずは、先日開催しましたREREY販売会のご報告です。
お蔭様で沢山の皆様にご来店いただき、大変な盛り上がりとなりました。
お忙しい中、お越しいただきありがとうございました。心より感謝致します。

第3回履物laboはきものがかりの内容は
・着物の格に合わせた草履選び
・annKoginさんとコラボ企画。こぎんざしの鼻緒の研究のつづき

ーー意外と知られていない草履選びの真実ーー

普段皆さまは草履はどちらでお求めになるでしょうか?
デパート、ネットショップ、着物屋さん、履物専門店…
様々な選択肢がありますよね。
着物のお出かけに履物ってとっても重要。特に礼装はお相手に失礼のないようにしたい。
なのに「着物屋さんに勧められたから」「ネットで安かったから」など、なんとなく買ってしまう方も多いのでは?
着物屋さんは着物のプロ。でも履物もプロなのでしょうか? ネットの情報も然りです。
ちょっとよくわからない履物の格について、丁寧に教えていただきました。

■草履に使われている素材と特徴

・牛革・・・耐久性に優れている
・合成皮革・・・牛革に比べると耐久性は劣るが、それでも5~6年は履ける。リーズナブル。
・帆布ほかファブリック
・帯地(佐賀錦など。その昔、佐賀錦風の草履とバッグのセットが沢山出回った)
・畳表(竹皮)
・夏向きの植物素材(パナマ・麻・籐など)

■草履のTPOについて

<礼装・準礼装 (留袖・訪問着・色無地)結婚式や式典等に参加する時の草履>

・金銀の帯地
・金銀の牛革・合成皮革
・金銀彩の入ったデザイン
・白の牛革・合成皮革
・畳表+白または礼装用の鼻緒

<盛装 (訪問着・付下げ)お洒落してお出かけする時の草履>

・白や淡い色の牛革・合成皮革
・金銀彩の入ったデザイン
・螺鈿などの細工が入ったデザイン

ーーネット上などで見られる間違った情報ーー

✕高さのある草履がフォーマルである 
⇒草履の高い低いと格は関係ない。低くてもフォーマルな草履は沢山あります!

✕フォーマルには光沢のあるエナメル草履
⇒エナメル、マット加工、どちらでも良い。

✕段数の多い台がフォーマルである 
⇒段数と格は関係ない。

どうでしょう?上記のような間違えた情報をどこかで目にしたり、どなたかに注意されたなんてことはないでしょうか?
でも大丈夫です!専門店が発信する確かな情報ですから、低いフォーマル草履でも自信を持ってお出掛けしましょう♪

ーー失敗しない草履選びの知識ーー

◎素材と価格のバランスで選ぶ
納得がいくまで厳選した草履が欲しい!価格を抑えたい。など、ご希望は様々。
ご自身の希望条件を明確に。
 
◎正しいサイズを選ぶ
特に足の小さな方は「大きくても大丈夫!」と、大きめを勧められがち。
ですが、足に合わない草履はキケンです。何よりサイズが合っていると歩きやすいので、きちんと合うサイズを履くようにしましょう。

◎白または淡い色の無地草履は万能
格も幅広く対応できるし、着物の色柄を選ばないので、1つは持っていたい定番です。

ーー辻屋本店ならではのポイントーー

ご来店いただいた方ならお分かりになると思いますが、とにかく沢山の種類があり、初めての方は驚かれるかと思います。それ以外にも
・辻屋でご購入した履物の鼻緒の調整は何度でも無料
・台はそのままに、別の鼻緒に挿げ替えも可能
・サイズ、台の高さ、革の色などフルオーダーができる
などなど、専門店ならではのサービスがいっぱいですね。

ーー研究員の考察ーー

段の数は値段に比例する

段数は格には関係ないけれども多くなると工程が増えるので、値段が高くなってしまうという事情もあるとのこと。
靴を買うときに、履いていく場所やそれに合わせる服を思い浮かべるのと同じように、どんなシーンで、どの着物に合わせたいのかを思い浮かべながら、お店で相談に乗ってもらって、たくさんの候補のなかから、お気に入りを見つけたい。

1足の草履で鼻緒を替えて楽しむことができる

着物1枚帯3本というけど、草履も台ひとつに鼻緒3本みたいなことができることは、私を含め周りの友人たちはきっとあまり知らないと思います。
普段用、よそ行き用、フォーマル用とかすげ替え放題な履き方ができるのは本当に驚きです。そんな風に履物で楽しみたくなりました。
着物と同じように履物でも自分好みに仕立てられるのに、そんな専門店が多くないことが残念です。
下駄は大きくて大丈夫なんて間違った知識のまま草履もうっかり大きいものを選ぶところでした。
草履もこだわって作れるのに、知られてないせいか需要がなくて、作れる人が少なくなっているそうで、悲しいし残念。

白系の草履を選んでおけば

コロナ禍が落ち着き外出しやすくなり、絹物、特に盛装を着る機会が増えたため、昨年秋頃から正装と盛装に履ける草履が欲しくなっていました。
そのためすごくタイムリーな今回のテーマで、とても嬉しく有意義な講座でした。
今まで下駄では鼻緒がくたびれたので、鼻緒だけ新しくすることはありましたが、白系の草履を選んでおけば、必要な時に正装用の鼻緒をすげ替える方法があるというのは目から鱗でした。

昔の人の履き方は今の人とはかなり異なる

私は普段着物が圧倒的に多いので滅多に出番のない礼装には、母のお下がりの銀糸系の錦織の草履・バッグのセット一択でやりくりしていますが、普段着にも使える白い皮革草履や畳表草履に礼装向きの鼻緒を挿げて礼装用にするのも、また素敵だなと思いました。草履をまだ一足も持っていない方などには、このやり方は効率よくお得なのでぜひおすすめしたいです。
また、着物には鯨尺、履物にはカネ尺が使われているというお話や、昔の人の履き方(いま80~90歳くらいの方)は、足の指に鼻緒を少ししか引っ掛けないで履く、歩き方も今とはかなり異なるというお話なども、個人的にとても惹かれました。
その頃の雑誌や映像から、具体的にどのような履き方だったのかをよく見てみたいと思いました。

履物もTPOは大切

着物の格に合わせた草履選び(特にフォーマルには注意)
今回も辻屋本店の女将 富田里枝さんの講座は目からウロコでした。
昨今のきもの事情としては「なんでもOK」という風潮がありますが、やはりTPOは大切で、特にフォーマルな時は気を付けたい。
基本的に間違えない履物選びのコツは、お召しになる着物と帯の「格」に履物の「格」を合わせるのが最も相応しい。ということでした。

着物に詳しい人でも履物知識は間違っていることがある

かなり着物に詳しい人でも履物知識が間違っているということを知り驚きました。なるほどと聴けば聴くほど合点出来ました。
フォーマル着物の時の履物に悩む事もなくなりましたし、自信が持てるようになりました。
草履作りの技術発展と流行りの変遷、そして今のものを実際拝見しながらたゆまぬ努力を知ることが出来、これからはどのようになるのか未来の履物も楽しみになりました。

Sサイズは少ないが、コルク素材を削れば作れる

台の段が多いと加工に手間がかかり高くなりがち。
Sサイズは在庫がないことが多いが、草履の芯になるコルク素材を1個1個削れば作ることはできる。ただし加工賃が3割増しくらいになってしまう。
草履を選ぶ時は、素材による経年劣化の度合いと値段のバランスを考える。合皮は5~6年程度と言われている。牛革素材ならかなり長持ちするが合皮より値段は高くなる。

サイズは大事。見た目もだが、最も大事なのは、転ばない・足を痛めないための「安全性」!!
痛くない草履を探しに来店する人が多いように、私もそのような基準で今まで選んできていたように思います。
「痛い草履」はそもそも存在せず、痛みが生じるのは鼻緒のすげかた、或いは履き方の問題だけだということが本当に衝撃的でした。
また、ほとんどが下駄で生活していた時代とスニーカーが多い現代とでは歩き方の癖がかなり異なり、昔のすげ方(現代より踵のはみ出しが多いすげ方)は現代の人には合わないため、鼻緒の挿げ加減も変わってきたと言うことはとても興味深いお話でした。

ーーannKoginこぎんざし鼻緒の研究のつづきーー

前回の履物laboでは、それぞれの研究員が生地と糸の色を決めました。
今回は仕上がった作品とご対面!こぎんざしの図案はannKoginさんにお任せしました。
なんと、ひとりひとりのイメージに合わせて制作していただいた上、アンさんから丁寧なメッセージまで添えていただき、感激しっぱなしの研究員たちでした。
更に、辻屋さんには特別に、何種類も前ツボをご用意していただきワクワク!夢中で色選びを楽しんでいただきました。
次回はいよいよ鼻緒になるので、仕上がりが益々楽しみです!
こぎん刺し朝小布 アンコギン

ーー第3回を終えてーー

フォーマル草履についてモヤっとしていた事が明確になりとてもスッキリ!
ネット上には和装履物の???なコラムもあるようですが、履物知識は専門店からの発信をを参考にしていただけたらと思います。
お洒落は足元から。というように、履物のお洒落ってとっても大事。更に安全にも関わりますからサイズ選びはもっと大事です。
私は早い段階で辻屋さんとご縁をいただいたので、履物の悩みは殆どなく楽しめていたのですが、この履物laboを通して特に足の小さい方のお悩みに気付く事となりました。
お悩みがある方は(無くてもw)専門店に頼って快適に過ごしていただきたいです!

履物laboはきものがかり 事務局 しずこ

*履物labo はきものがかりとは?
着物を愛する皆さんと共に、隔月で和装履物を研究。公募でご参加頂いた研究員の皆様と共に現在の履物事情、そして履物の未来について意見交換する場です。

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